覚悟はいいですか

欲しい

その心も体も彼が与えてくれる全てを私のものにしたい

感じたことの無い熱が大波となって私を飲み込み

離れようとした胸に重心をかけて、気づけば礼を押し倒していた・・・


「紫織!?」

「礼が欲しい」

「!」

「…どうしようもなく、貴方がほしいの」

自分でも信じられない言葉が口をついて出ると
右手でパジャマのボタンを外し始める

『何してるの!私!』

頭の隅でもう一人の自分が叫んでるけど、手は止められないまま
呼吸は早まり、体が痺れたように理性は働かなくなってしまった

礼は目を見開き、真剣な顔でじっと私を見あげている

彼にまたがったまま、胸を押さえていた手を口元にあてた
濡れたような瞳を見つめながら、空いた右手を襟元に掛け、肩を抜こうとした時…

手首を捕まれ、止められて、ハッとした

礼はゆっくり起き上がると、真っ赤に染まった顔で怒ったように私を睨む

「紫織、俺が言ったことちゃんと聞いてた?」

まるで幼な子に言い聞かせるように、低く甘い声で囁いた

まだ体の奥の熱は消えない

でもそれ以上に、恥ずかしさが勝って、私は涙目で礼を上目遣いに見る…


だが、それが彼の獣に火をつけたーーー

手首を握る力が急に強くなって…
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