覚悟はいいですか

「そう言えば、北斗組の事務所に外国人が来ていたな」

コンソールを操作しながら、事務所を監視していたカメラ映像をメインに呼び出す
時間を巻き戻すと、昼近くに黒い車に乗り込む姿があった

「・・・こいつらだな。時間的にも合う。
恐らく…紫織さんが店に来たのを狙ってきたんだろう」

こちらも見張られてたというわけか…
ほんとに蛇のようにしつこい奴らだ

「私はこの車の行方を調べる。ま、十中八九、堂嶋のいる別荘だろう
お前はヘリで行け」

「頼む、兄さん!」

「気をつけろよ!って、もう行っちまったか…」

踵を返して駆け出した礼に、兄の声はもう聴こえない
智は苦笑して、またコンソールを操り始めた…

硬い廊下に礼の靴音だけが響く

紫織、必ず助けてやる!
だから、どうか無事でいてくれ!!


俺は祈りながら全速で屋上に向かって行ったーーー
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