覚悟はいいですか

聞いてるのはこちらだと思ったが、俺の予測が正しければ、ここは従うところだ

一度目を閉じて息を吐き出し、気持ちを落ち着けた
それから覚悟を決め、ひたと徳永氏の眼を見すえながら話し始めた

「この案件、恐らくは御前の大掃除に我々が駆り出された、ということではないですか?」

「大掃除とな?」

徳永氏は彼方を見たまま、とぼけている

「はい。恐らく御前は堂嶋を排除されたいと考えた。そこへ山口さんを助けようと我々が動き出しました」

「ほう……」

「山口さんを囮に堂嶋の、いや堂嶋家の悪行を海棠の力で暴かせ、警察を動かして止めを刺す。
それが御前の描いたシナリオではございませんか?」

カンッ

徳永は灰落としに煙管を打ち付け、

パチパチパチパチ…

俺の顔を見ながら拍手をした

「さすがだの。海棠の次男坊」

「恐れ入ります」

「じゃが、なぜわしは自ら手を出さず、お前たちを見守ることにしたのか、わかるかの?」

やはり、そこを突いてくるか……

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