覚悟はいいですか
「しおっ、ごめっ、で、でも想像したらっ、アッアッあ~~~~~っ」

よほどツボに入ったのか、声をなくして苦しそうにしながらそれでも笑っていた

「失礼ね、その方が視界も広くて見やすいのよ。有名な料理研究家でやってる人もいるわ!」

冷たい目で一瞥してから、スタスタと歩き出す。礼が慌てて追いかけてきて、やっぱり笑いながら謝っている

もう、声が震えてるし・・・と内心呆れながら立ち止まり、背を向けたままで話す

「ほんとに反省してる?」

「うん、ほんとごめんって。もう笑わないから機嫌直して」

いやいやまだ声が震えてるけど!
まあいっか

もともと本当に怒っているわけではない、ちょっと拗ねて見せてるだけ。礼もそれはわかっていて敢えて付き合ってるのだ

だから私もその流れのまま、本題に踏み込むことにした
 
「じゃあ、ひとつだけお願い聞いてくれたら許す」

「お願い?いいよ、何かな?なんでも言って」

なんか声が・・・何だろう、すごく甘い・・・

いやいや、そこじゃないでしょ、私!!

礼ったらなんでも、とか言っちゃダメでしょ、ほんとに大企業の御曹司なの?!聞いた相手が私でよかったわね

振り返った私は礼に人差し指を突き立て、“お願い”をする

「ベッドに連れてくから、ちゃんと寝て体を休めて。みんな揃うまであと3、4時間はあるからそれまででいい
今のまま休まずお酒飲んだら、確実に救急車行きよ、何かあれば綾乃さんたちに迷惑かかるでしょ?

私のお願い、聞いてくれるわよね?」






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