覚悟はいいですか
突然の大声に肩がビクッとはねた
礼が足早に私の前に来て両肩を掴む
思わず顔を上げると、何かを耐えるように真剣な顔で私を見下ろしていた

「大声出してごめん。けど、俺はもう少しだけ紫織と居たい

君に話したいこと、言わなきゃならないことがあるんだ

もし紫織が帰るなら・・・俺はここで寝ないよ」

「礼・・・」

「我がまま言ってごめん・・・
でも紫織が帰るならここでは寝ない、このままパーティーへ行く」

冗談ではなさそうだ。さっきから真剣な顔のまま、両肩に置いた手が話すにつれて力がこもってきた

どうしたというのか、こんな礼は初めてだ

よほど疲れているのだろうか・・・
だとしたらほっとけない
こんなにも必死な彼に逆らうこともできない

自分の心の安寧より、彼の健康が大事だ
惚れた弱み、いや惚れていただ、ハァ・・・

「しょうがないなあ、わかったよ
礼が眠るまでそばにいるね

みんな集まったころに起こしに来るから
そのあとはまた一緒に行こう
それでいい?」

「いいよ、ごめんな、しお」

「もう謝らないで、予定が戻っただけよ」

「うん、ありがとう、紫織・・・」

彼の表情が穏やかになりとホッとしたのも束の間、
それまで肩にあった手が背中に回されて・・・


私の体は礼の広い胸の中に抱きすくめられていた

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