覚悟はいいですか
心臓がドキドキと早鐘をうって駆け上がる
えっなに、どういうこと?
体中の血液が血管を倍速でめぐり、
頭はぼーっとして思考が停止する・・・

寸前にひとつの可能性がひらめいた

「れ、礼?どうしたの?具合悪い?」
思わずかんだが、何とか訊くことができた

礼は私の背中と腰に手を回したまま、肩に顔を埋めている
立ってるのもつらいのかな?
顔を覗いて様子をみたいけど、しっかり抱き締められてちょっと押した位では無理だ

どうしたものかと悩んでいると
礼がフッと笑ったのがわかった

「しおは変わらないな」

~っ!
何のことかわからないが、そこで話さないでほしい!!
うなじに息がかかってくすぐったいし、
肌に唇が触れてドキドキが止まらない、恥ずかしいっ!汗だってかいてるのに~!
こっちは心配してるのに、無意識に変なことしないで!
って抗議したいけどできない・・・

どうしよう、具合悪いんじゃないの?ちがうの?

ワタワタと慌てだすと、礼はさらに腕に力を込めて
ギュッと一瞬だけ抱き締めてから、力を緩めて一歩離れて立った

ほっとすると同時に、ふと寂しいと感じ、慌てて首を振る私を見て微笑み、
「じゃあ、寝るまで紫織がそばにいて」
などと言う

もう何の修行だよ・・・
この人、ホントに礼?こんな甘えたがりだったっけ?
イマイチ腑に落ちないが、言い出しっぺは私だ
ひとつ頷くと礼は嬉しそうにして、ジャケットに手をかけた
差し出されるまま受け取り、クローゼットにしまう
そのまま振り向くと、上半身裸の礼がいた


「~~~~~~~~っ!!」

 











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