覚悟はいいですか
綾乃さんと友和さんが隣同士に座るから、
必然的に私の席は礼の隣になった
それはまあ、いいんだけど、しょうがないんだけど、なんか・・・
横からの視線にさっきからいたたまれなくて、どうしよう…すごく食べづらい~~!

「礼、デレデレ見過ぎ。しおが真っ赤に固まってるじゃん」
綾乃さんが呆れたように言う。

「そう?ごめんね」
って言うからやめてくれるかと思ったら、
逆に距離をつめてきたから、
さらに体が強張ってしまう
鼻先がもう10㎝くらいでくっつきそう

礼のつけてる甘すぎないスパイシーな香りにふわっと包まれて
香水かな?なんか好きかも・・・
食事の時でも邪魔にならないし・・・
はっ!とか言ってる場合で無くて!

体をずらして少しでも距離をおいてから
何とか視線を外そうと話しかける

う~ん、とりあえず…
「礼も食べたら?」
「ん~」
微笑んだだけだし!
「このお肉、美味しいよ」
「ん、しおが食べなよ」
「私の分はあるから…」
「じゃあ、もらおっかな。あ~ん…」
「!!!」(キャー食べられる~!)

「モガッ!」
礼の開いた口に綾乃さんがおしぼりを突っ込んだ
「ああおは、あいおおんあいあ!!(訳:綾乃さん何するんですか、と思う)」

私も友和さんもあっけにとられ、見ているしかない

「ひどいなあ、もう・・・」
やっとおしぼりを取り出して店員に替えを頼んでからボソボソと小さく反論してる…
こんなことされても、やっぱり綾乃さんには怒れないんだね
「ひどくない。誓約書忘れたの?」
と冷静に返す綾乃さん

ン?何のことだろう・・・
< 69 / 215 >

この作品をシェア

pagetop