二番目でいいなんて、本当は嘘。
ところが数日後、
「仔猫が欲しいという人が見つかりました」
と桐生社長からのメッセージが届いた。

いつもなら嬉しくなってしまう社長からのメッセージだったが、そのときだけはがっかりした。


――賑やかなのは、今のうちだけか。

今はまだ、4匹の兄弟がみんな揃っている。
けれど週末に、みんな新しい飼い主のもとに引き取られていくことになっていた。


去っていく者よりも、見送るほうが淋しい。
大切な人との別れを重ねるうちに、そんなふうに思うようになった。

でも、感傷に浸ってばかりもいられない。
私は社長あてにメッセージ文を打つ。

「いつものように、どこかで猫との顔合わせをしてもらいましょう。こちらはいつでもフリーなので、先方の予定に合わせます」

返信し終えたあと、シズクの額をそっと撫でる。

「また、ふたりの生活がはじまるね」

するとシズクは、フンと鼻を鳴らしながら私の手に頬ずりをした。
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