二番目でいいなんて、本当は嘘。
「私ひとりじゃ、育てるのは無理だということはわかっています。このまま清香さんたちに甘えるのは、ご迷惑でしょうか……」

「そうじゃないわ。私たちはずっと、未央ちゃんの味方よ。でも、子供を守ってくれる頼もしい人がもっと近くにいるじゃない。生まれてくる赤ちゃんにとって、どうするのが一番いいのか、もう一度考えてみるべきだと思うの」


まさか、親権を父親側に渡したほうがいいと、清香さんは言っている?
私よりも薫さんが親でいるほうが、子供のためになると。


「清香さんや町の人たちにはよくしてもらいました。でも、最後まで私が育てたいんです! 絶対にこの子は、私が守ってみせます!」

「薫さんにも、子供を守る権利があると思わない?」

「薫さんは薫さんで、婚約者の方と新しい家族を作ればいいと思います。わざわざ私から子供を奪わなくても……」


なんだか裏切られた気分だった。

清香さんは、私と同じ思いをしてすずさんを育てたのかと思っていた。
だから私や翔馬くんのお母さんのような立場の人を守ってくれていたのだと。

なのに、最後の最後で権力に屈しろと言うのか。
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