二番目でいいなんて、本当は嘘。
「なにも言わずに引っ越してしまってすみません。でも、私たち、ちゃんとお別れしたじゃないですか」

「お腹の子供のこと、黙っているつもりだったんですか?」

「だって、薫さんの子供じゃないかもしれませんよ? きちんと避妊してくれていたし」

「いや、間違いない。僕の子だ」


薫さんは苦しそうに額に手をあて、そのままふらふらとソファに座りこんだ。


「どれだけ探したと思っているんですか」


手で額を覆い、表情を隠しているが、薫さんの肩は震えていた。

痩せた体。青白い顔。
本当に心配してくれていたのだろう。
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