二番目でいいなんて、本当は嘘。
うずくまるようにソファに座っている薫さんの隣に、私も静かに腰を下ろす。
そして薫さんの手を握り、膨らんだお腹に導いた。

「今、8か月目に入ったところです。5月のはじめが予定日で、男の子か女の子かはまだわかりません。生まれてからの楽しみにしようと思って」

「そうですか……」


薫さんは私のお腹をやさしく撫でた。
そのとき赤ちゃんがポコンとおなかを蹴り飛ばしたので、薫さんはびっくりして顔をあげた。

目が合った私は、にっこりと笑いかける。
すると薫さんが、静かな声で話しはじめた。

「僕たちは、もっと話し合うべきだった。いや、僕の方が先にそうするべきだった」

「はい。さっき、清香さんからもそう言われました。ちゃんと向きあえって」

「当事者たちが、いちばん状況が見えていなかったのかもしれませんね」
< 239 / 250 >

この作品をシェア

pagetop