二番目でいいなんて、本当は嘘。
――「駐車場に猫の入ったダンボールが置いてあったのを見つけたとき、僕は脇にどけて放っておこうとしたんです。だけど社長が、『小さくても、命だから』って」

秘書さんは、社長のしたことを、すこし愉快そうに、それでいて自慢げに私に聞かせてくれた。


「そんな社長の姿を見て、第一秘書も『仕方ない』ってオフィスに会議の時間の変更の連絡をしに行って」

第一秘書の人も、社長のそういった行動に慣れているらしい。

「社長は、博愛主義者ですからね」
と第一秘書は呆れ半分に言いつつも、そんな社長を放っておけない様子で、
「タイムリミットは、40分です」
と念を押しててオフィスに戻ったようだ。
< 78 / 250 >

この作品をシェア

pagetop