幼なじみの甘い牙に差し押さえられました


「…ママ…!」



震えながらノートを捲る。
唇がぬるっと?髪から甘い匂い?
キスしたの!?ママと涼介が!



次のページは真っ黒に塗られてた。筆圧の強すぎるシャーペンで引っ掻かかれて紙が切れてる。文字らしいのが書かれているのはかなり先のページだった。





“環のお母さんは怖い。環はママはきれいだと自慢するけど、笑った顔が怖い。底無し沼みたいだ。

あの人と一緒にいて環は大丈夫か?もしこの先ずっと会えなかったら…”



どうしてママは涼介に酷い事をしたの?

ママが涼介を好きだった?
違う。いくら若いママでも当時33歳の大人が当時まだ見た目も幼かった涼介と恋愛するなんて不自然だ。


じゃあどうして?






「どうして、涼介にキスしたの!?」



考えても苦しくなるばかりだから、始発を待ってママの住むアパートに行った。

ママは連絡も何もなく急に現れた私にびっくりしたみたいだ。
小言を言われたけど気にもならない。それどころか、普段ならママに会う時の高揚感も緊張感も何も感じなかった。



「答えて、ママ」
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