幼なじみの甘い牙に差し押さえられました


振り向くと涼介が「助けて」と困ったように笑うから、ますます胸が苦しくなった。


「環が足りない。もっと欲しい」


ぎゅうっと私を腕の中に閉じ込めて、それでも足りないって言う。熱を帯びた涼介の声が嬉しいと思ってしまうのは、どうしてなんだろう。

気が付けば自分から涼介の唇にキスをしていた。初めてでたどたどしくて、涼介にじっと見られると慌てて目を逸らす。


「これで、足りる?」

「逆だよ。もっと欲しくて堪らなくなるから」


涼介がキスすると足元が揺らいで、ポットがカシャンと音を立てる。


「体幹強いのに、こういうのに弱い」


「意地悪」


「…そうかも」


ベッドの上でキスの続きをした時には、涼介はもっと意地悪になっていた。ここなら力が抜けても倒れないけど、絶え間なく溶かされて自分でも訳の分からない声を漏らしてしまう。

濡れたような瞳をした涼介に見つめられると、知らない感情に支配されていた。


「これで…足りた?」


「まさか。でも環が怖くなったら、いつでも止めていいから。」


借りたシャツのボタンを一つずつ外される。
涼介が「あ…」と静かに驚いていた。


「これ、店で環が選んだ下着…?」


「お、覚えてるの?」


涼介と再会してすぐの時に、店員として選んだプレゼントのキャミソール。私のために買ってくれてるとは知らずに、大人っぽいピンクのシルクを選んでいた。
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