家出令嬢ですが、のんびりお宿の看板娘はじめました
「それは、……まるでロリコンさんですね」
思わずはっきり言ってしまうロザリーに、ピクリと耳を動かすのはザックだ。
「会ってみれば人柄もわかるだろう。本当に嫌なら、それから断ればいい。あそこまで熱心に言ってくれているのだから、一度だけでも会ってみないか。同じ手放すにしても、お前の将来を考えれば結婚で手放したほうが私も安心だし」
「でも……」
乗り気なエイブラムに、ロザリーが押され気味になっていると、ザックが会話を割って入ってきた。
「そういうことなら、俺も黙っていられないな」
「ザック殿?」
「あなたがロザリーを連れて帰りたいというならば、反対する権利は俺にはないでしょう。だが、戻って結婚させると言われれば、黙っていられません。俺はロザリーを、誰にも渡したくないんだ」
ザックの宣言に、あたりが歓声をあげる。
ケネスは笑みを浮かべたまま悠々としているようだが、よく見ると口もとが引くついている。内心では、どう収拾つける気なんだいと気が気ではない。
ロザリーもエイブラムも彼の言葉が空耳だったのかとでも言うように目を見開いて彼の口元を見つめた。
「ザック様?」
「……なんでそんなに驚くんだ。前にも言っただろう? 俺は君といたいと」
ザックは不満げだ。ロザリーに気持ちが通じていないのが腹立たしいのだ。
ザックにしてみれば、あの晩の告白はそれなりに勇気がいるものだった。のんきな態度のロザリーがかわいさ余って憎らしい。