大逆転ラヴァー



その日から始まった夏樹の大逆襲。



「あーやーめーちゃーん」

「うっ…また来た…」



その全貌は、休憩時間の度にうちのクラスに来ては私を呼びつけるところから始まり、



「今日も一緒に帰るぞ」

「誰があんたとなんか、」

「あっそ。今日はクレープ奢ってやろうと思ってたのに」

「クレープ…」




3日前はパフェで一昨日はアイスクリーム、
昨日はドーナツだった。

そして、どうやら今日は大好きなクレープらしい。

感心してる場合じゃないけど、私の好物よく覚えてるなって思ったのが本音。




「駅前にできたクレープ屋がめちゃくちゃ美味いってクラスの女子達が言ってた。お前もう行った?」

「…いや、まだだけど」

「じゃあ遠慮すんなって。俺が一緒に行ってやるからお前また荷物持ちしろよ」

「は?」

「んじゃ、また放課後なー」




こうやって毎日毎日好きな食べ物で餌付けをされて気付けばいつも夏樹のペースに乗せられている私。

クラスメイトの女子達は夏樹が教室に来る度にうっとりして目をハートにさせているけど、毎度呼ばれる方は憂鬱気分でいっぱいなんだ。
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