大逆転ラヴァー



クレープを食べ終わった私達は
夕焼け空の下を二人並んで歩く。

アスファルトに伸びる二つの影が揺れる度、
気持ちまで一緒に揺れてるみたいに感じていた。



「ふん、影までチビ」

「うっるさいな。あんたが無駄にでかいだけじゃん」



たしかに夏樹はムカつく。

だけど、周りの男子達みたいに私がキツイこと言ったって凹んだりしないんだ。




「全然無駄じゃねぇだろ。ほら、こんなこともできるし」

「ちょっと私の髪の毛グシャグシャにしないでよ!」

「悔しかったらお前もやり返せば?ま、チビだから届かないと思うけど」




それどころか場合によってはこうやって倍返しされることもあるくらいだし。


私だけが一方的に酷いことを言って夏樹を泣かせていたあの頃とはまるで違っていて。

私にとって今の夏樹は…対等に言いたいことを何でも言い合える唯一の存在なのかもしれない。



夏樹と一緒にいるとムカつくけど楽しくて、
生意気だけどどこか憎めなくて、
不思議とすごく心地が良い。


幼い頃、泣き虫男子と強気女子だった私達の関係はそんな風に変わっていた。
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