大逆転ラヴァー
憂鬱な気分のまま辿り着いた学校。
朝からドッと疲れているのは、どこかで夏樹に会わないかビクビクしながら歩いていたから。
でもここまで来ればもう安心だ、と胸を撫で下ろして教室へと向かう。
「ねえ、キミどこから来たのー?」
「名前は?LINE交換しようよ~」
北校舎の3階にある2年C組が私のクラス。
見慣れているはずの教室前の廊下は、なんだかいつもと様子が違っていた。
大勢の女子が何かを囲むように群がり見事に全員が目線を下へと向けていて。
そして、媚びるような声が響いている。
女のぶりっ子ほど腹立たしいものはないと思う。
爽やかな朝に甘えたような気持ち悪い声を聞かされるのは耳障りでしかない。
さっさと教室に入りたいのに、この謎の女子集団が扉を塞いじゃってるから中に入ることもできず、こんな訳の分からない状況に朝からイライラする。
一体…何事なの?
と、気にはなるけれど150㎝後半の身長では何も見えない。
でも、女子に囲まれて埋もれちゃうくらいだもん。
どっかの子供が紛れ込んできたとか、そんな感じだろう。全くもってどうでもいいことだ。