【完】李寵妃恋譚―この世界、君と共に―
「兄上っ!」
嵐雪との話を終え、一人、息をついていると、元気よくかけてきたのは第十公子の高星。
「高星」
「兄上、お会いしとうございました!」
活発な目、明るい笑顔。
まさに、元気いっぱいな十一歳の弟は、
「あれ?雄兄上がいない……」
後ろを振り返り、
「あ!雄兄上!!」
第九公子の雄星の方へと駆け寄っていく。
雄星は今年で、十三。
まだ幼く、後宮住まいだ。
「は、早いよ……高星……」
「あははっ、ごめんごめん」
雄星の母は、順徳太妃。
高星の母は分かっていないのだが、死んでいることは確か。
身寄りのない公子は後宮では生きていけない。
その為、高星は皇太后が養育しているのだ。
「―お久しぶりです、皇帝陛下」
雄星は黎祥の前に来ると、そう、拝礼した。
友好的な高星とは違い、真面目な雄星。
二人の年はそう変わらないのに……この態度の違いはなんだろうか。
「何で、そんなに硬いのさ。雄兄上ってば」
「何でって……相手が陛下だからだよ」
「ふーん……兄上は兄上なのにね?」
高星は礼儀とか、そういうのが苦手だと聞いている。
だからといって、皇太后が高星の養育を怠った訳ではなく、単純に彼自身が苦手だという話らしい。
一方で、雄星は母親の教育が行き届いているんだろう。
模範的な、公子である。