【完】李寵妃恋譚―この世界、君と共に―



「……迷惑を、かけたの」


待たされること、一刻と少し。


泥だらけだった姿とは相対して、綺麗に着飾った姿はさながら西王母のよう。


椅子に深く腰を掛け、ゆったりと団扇を動かす柳皇太后は高淑太妃や順徳太妃とは違った淑やかな美しさがあり、先程の泣きながら鞠を抱いていた姿が思い出せないくらいに、柳皇太后は落ち着いていた。


翠蓮は彼女に拝礼をしながら、耳を澄ます。


彼女のそばには一人の女性以外おらず、全員、下がらせた柳皇太后。


「順翠玉。―顔を上げて。恩人にいつまでも頭を下げられていては、わらわも困る」


「ですが……」


「高星たちとも仲良くしているそうではないか。子、孫同様、わらわとも仲良くしておくれ」


微笑みかけられて、戸惑う。


思った以上に、柳皇太后は優しい人で。


勝手に冷たい印象を抱いていたものだから、柳皇太后は本当に予想外だった。


でも、高星様の養母であられるし……そう考えると、違和感は少ない。


彼が快活で心優しい少年であるのも、ひとえに彼女の教育の賜物だろうから。


「わかりました……」


言われるままに身体を起こす。


すると、侍女さんに椅子を勧められた。


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