【完】李寵妃恋譚―この世界、君と共に―
「どうして……そうね。わらわのこと、責めても構わぬ」
「え……?」
「あの子の動向を追わせたの、わらわなのです」
柳皇太后の突然の告白に何も言えない翠蓮を前に、柳皇太后は手を握りしめて。
「貴女にも、黎祥にも、ほんに辛い思いをさせました。決して、黎祥を連れ戻すつもりなどなかったのです。心から、申し訳なく思うております」
「そんなっ、頭を上げてくださいっ!!」
頭を下げられて、翠蓮はそれを止める。
だって、彼女にその気がなかったとしても……それはいつか、必然的に訪れるはずだったから。
「……謝る必要など無いのです。これは、必然。訪れるべき、未来だったのですから。いつか、黎祥は一人でここに帰ってきた。違うのは、私の存在」
黎祥はもとより、ここで生きる人だった。
そして、翠蓮には王である黎祥の横で生きる覚悟がない。
だから、これで良かった。
「これで……良かったのです」
翠蓮が微笑むと、柳皇太后も優しげに微笑んで、絹団扇をゆるりと動かした。