【完】李寵妃恋譚―この世界、君と共に―



「―流石ですわっ!お姉様!!」


「うわっ!?呉徳妃様まで!?」


愛らしい笑顔を浮かべ、何故か翠蓮を「お姉様」と呼ぶ呉徳妃は、翠蓮にしがみつくと。


「祐鳳に聞きましたわ!どうして、翠蓮だけが、順姓なのか気になっていましたが……まさか、名前を偽ってまで、人々を助けようと試みるとは!」


うわっ……全部、ばれてるじゃない!!


順徳太妃に目を向けると、微笑まれて。


次、順大学士に目を向けると、『大丈夫です』と、声にならない声で言われた。


大丈夫、とは、黎祥のことか。


それなら、まだ、良い。


「ねぇ、お姉様!どうして、そう志すようになったの?」


「呉徳妃様、その……お姉様って、やめません?」


「どうして?嫌?」


「嫌というか……私は、薬師です。妃嬪であられる貴女が、私のことをそう呼ぶなんて……」


ましてや、呉徳妃は四妃の第三位。


身分不相応にも、程がある。


「私が好きで呼ぶんだから、関係ないよ。泉賢妃も、とても感謝していました!翠蓮、私の友達を救ってくれて、ありがとう!」


毒で倒れた泉賢妃と仲の良い彼女。


さっき内楽堂で別れた女官と同じく、呉徳妃が慕っているということは、泉賢妃は親しみやすい人柄なのだろう。


治療に当たっている間、毒の影響か、声も発せなかったみたいだが……。



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