【完】李寵妃恋譚―この世界、君と共に―
「ほらほら、出て!」
「えっ、あっ……」
無理やり、灯蘭様と雄星様に押し出され、姿を現した彩姫様。
黒真珠のような、波打った皇族の証である豊かな黒髪。
大きな瞳は、宝石のように赤く。
……一言で言うのなら、黎祥に瓜二つ。
どうして、こんなにも……と、泣きたくなるほどに。
「こ、こんにちは……」
少し震える声で、そう言った彩姫様。
いろんな人に会ってきた中で、黎祥と同じような容姿をしている人は、沢山いた。
秋遠様だって、灯蘭様だって、雄星様や高星様、その他多くの黎祥の兄弟にあったとしても……こんな気持ちになったことは無かった。
「あの……?」
視線を外せない。
どうしよう、こんなんじゃ認めざる得ない。
「っ……」
黎祥のことを愛すのをやめたいのに、辞めることはを諦めるしかないのだと、その道しか、自分には残されていないのだということを突きつけられる気分になる―……。
「翠蓮様、しっかりなさいませ」
顔を伏せると、横に立った嵐雪さん。
「…………貴女は今、薬師です」
「はい……」
「皇帝陛下と生き写しのようで、驚かれたことでしょう。彼女は先々帝の第三皇女、淑彩姫様です。先々帝の十七人いらっしゃる御子の中で、皇帝陛下と彩姫様のお二人が、先々帝によく似ていらっしゃるそうですよ」
嵐雪さんの説明を受けて、翠蓮は拝礼した。