【完】李寵妃恋譚―この世界、君と共に―
悩み出す彩姫様だけど、答えはいつまでも出ない。
そこで、嵐雪さんが龍の涙について、質問した。
すると、考えることをやめた彩姫様。
「そうね。私ったら……ごめんなさい」
ふぅ、と、息をついて。
「龍の涙というのは、その名前の通り、この国の伝説的存在、双龍の涙と言われています。その宝石を使えば、どんな願いでも叶うと。ただ、使えるのは双龍に愛されたもののみ……それを持っている人が、双龍に愛されたものでは無い以上、それはただの石ころに過ぎません。それを与えられたということは、翠蓮様は龍神様に愛されているのですね」
彩姫様はそう言って、目を輝かせる。
そんな彼女の瞳には、どこか途方に暮れたような翠蓮が映っていて。
ポンッ、と、肩を叩かれ、振り返ると。
「ごめんね、翠蓮。三の姉様はなんていうか……大の伝説好きで。その話も所詮、噂に過ぎないだろうし、気にしないで」
と、灯蘭様が苦笑して、
「黎祥兄様……陛下が革命軍として、先帝陛下を討ち入りなさった時も、龍神様の話をしていたわ」
と、過去を懐かしむ。
「『雷がならない……龍神様は怒ってはおられないのだわ。黎祥が王に相応しいのは知っていたけれど……龍神様もそう認めているのね』とか、なんとか。龍神様は初代王に仕えたというけど、何百年の前よ?約千年よ?千年!本当にいるのなら、その龍神様が、今までこの国を見捨てなかったのが奇跡としか言いようがないわ」
ため息。
確かに、途中までだけど……『宵始伝』に描かれた、この国の歴史は壮絶で、灯蘭様が言うことも理解できる。