【完】李寵妃恋譚―この世界、君と共に―
まず、有名なので、禁軍とか。
禁軍というのは言うなれば、中央軍、国王軍のことである。
軍に将がいるように、禁軍においての将は皇帝。
右翼と左翼の将は、右将軍と左将軍を指し、今で言うところの李将軍と栄将軍を指す。
禁軍の中には、錦衣衛と呼ばれるものがあり、それは犯罪を取り締まるものである……らしいが、詳しいことは、本当にわからない。
それになるには、祐鳳兄様の言う通り、武科挙というものに登第すればいいらしいが。
それに受かったからと言って、いきなり、長公主の護衛だなんて……いくらなんでも、すごい出世である。
「それはなー」
「兄上、やめてください」
「でも、聞きたがっているじゃないか」
「……」
「そんなに聞いてはダメな話なのですか?」
「いや、単純に祐鳳がしくじった話だよ」
「へえ?」
祐鳳兄様のしくじりなんて、今に始まったことじゃないのに。
特になんの感慨もなく頷くと、
「考えてみろよ、翠蓮」
と、話を振られて。
「いいか?下町で時間潰していたら、ごろつきに絡まれて怪我している女性ふたりがいたとする」
「うん」
「当然の如く、助けるだろ?」
「まぁ、そうね」
「そうしたら、護衛になって欲しいと頼まれて」
「うんうん」
「数日、付きやったんだ」
そして、約束の最後の日。