【完】李寵妃恋譚―この世界、君と共に―
「身なりがやけに綺麗なその女の子から、護衛として雇いたいと言われたんだが……なんせ、新米。しかも、武科挙に受かったばっかだぞ?上手く断るために、『ご両親の承諾がないと無理です』と断って、逃げたんだ。で、帰った瞬間、長官に呼び出されて長公主付きを命じられ、その長公主とやらに会いに行ってみると、そこに居たのは、下町で助けた身なりのいい女の子。頭が痛くなると同時に、この国の皇族の自由っぷりに驚いたね」
(灯蘭様……その行動力、感服致します……)
何か、流石、黎祥の妹って感じだ。
今の話も半分、聞き覚えがあるような耳が痛くなる話だったし。
「大変だったのね……」
「おう」
ここまで聞くと、流石の馬鹿兄にも同情しざる得ない。
「色んなことが、ありますね」
兄妹でも、やっぱり人生の歩み方は違う。
翠蓮達兄妹はこれから先、どこへ向かうのか。