【完】李寵妃恋譚―この世界、君と共に―
「いや、皇家ではもう、あなたみたいなじゃじゃ馬は飼い慣らせませんから。馬の名手で在られる方に、貴女を―……」
「だから、嫌って言ってるでしょ!?大体、私のどこか、じゃじゃ馬なのよ!それは、灯蘭でしょう!」
「灯蘭は、私に無言で後宮から抜け出したりしたことはありません」
はっきりと言うと、鏡佳姉上の顔が引き攣る。
「私に伝える義務はありませんが……母君にくらい、行方を告げずにいなくなる、嫁ぎ遅れを他になんて呼ぶのですか」
「……っ、怒ってるのね、しかもかなり」
引かれるが、仕方ない話だ。
楚太昭華は面にこそ出さないが、心配性の女人だと聞いている。
彼女の感情の隠し方は、流石と感服せざる得ない。
「でも、それはあなたが悪いのよ、鏡佳」
そんな彼女の唯一の娘である、黎祥の目を真っ直ぐ見返してきて、不貞腐れる鏡佳姉上。
横からの麗宝姉上の言葉に、
「だって!会う度に、結婚を迫られたらどうしようって!」
そう返し、嘘泣きする。
「だから、きちんとお断りすれば……」
「第四公主じゃ、そうもいかない……ってか、順番的に麗宝姉様や彩姫姉様が嫁ぐのが先じゃない!?どうして、私なのよ!」
涙目でそう訴えられて、何を言おうか悩んでいると、
「ほら、私たちは大人しいから」
「差別だわ!」
はっきりと、麗宝姉上が答えて。