【完】李寵妃恋譚―この世界、君と共に―
「……栄貴妃様、どうしてこのようなことを」
父の遺体が見つかってから、翌日。
まだ、誰も気づいていないのに。
珍しく、お茶会に顔を出してくれた向淑妃などに謝罪を述べて、短時間のお茶会を終えた後、翠蓮と向かい合った部屋の中。
「どうして、か……」
「事情があることは、分かっています。栄将軍にも、既に話は聞いています」
「……」
兄様の名前を出されて、思わず目を向けると、
「御心配なさらず。拷問などはしてませんよ」
と、翠蓮は微笑んでいた。
「命は尊いものだと、再三、私は言ってきましたが……"そうしなければならない”事例は、この世に沢山あります。事情を、聞きたいんです。幸い、起こったのは貴族の死ですから」
皇族の死より、貴族の死は何倍も重要度は低い。
だから、場合によれば、雪麗の罪はなくなるかもしれないということか。
皇族の死より、重要視して調べられないから。
有耶無耶に、終わる可能性があると。
「……ねぇ、翠蓮」
「はい」
「私ね、とても大事な友人がいたの」
「……」
「その人はね、私とそう変わらない年頃だったわ。毎日、毎日、拙い花を持ってきてくれた」
幼いあの日を思い出すと、涙が溢れそう。
どうして、どうしてと、何度も思った。