【完】李寵妃恋譚―この世界、君と共に―
「わからぬ。人の子が作った法など、我らが知るか」
「千年前の、彩苑のものなら守ってやるぞ」
一人は弓を、一人は剣を携えて。
「―のう、人の子よ。何故、そなたらはここに来た」
真っ直ぐ、狙いを逸らすことも無く。
あまりにも禍々しい雰囲気に、黎祥は何も言えなかった。
息を呑んでいると、
「―また、勝手をやって……怒られるよ、あんたたち」
現れたのは、妓女のような妖艶な美女。
煙管を片手に現れた彼女は、二人を睨む。
そして、一言。
「翠蓮に嫌われたくて、やっているのかい?」
すると、怪訝そうに顔を顰めた二人は。
「はあ?そんなわけないじゃん。馬鹿なの?」
「うるさいよ、年増」
と、最大なる暴言。
「と、……なんだって?」
「一度で聞き取れなかったの?流石、年増だね」
これぞ、火に油。
平然とした顔で毒を吐く二人の少年に最終的に止めを入れたのは、
「―こらこら。ダメだよ、二人とも」
温和そうな、青年。
「「志輝!」」
その青年を視界に入れた瞬間、顔を輝かせた二人。
「彼は翠蓮の大切な人だからね。二人は翠蓮を悲しませたい訳では無いんだろう?」
「当然だろう!我らは、翠蓮を守るためだけに生まれてきたんだから!」
「翠蓮が泣くなど、言語道断!!」
「フフッ、相変わらず、翠蓮のことが大好きだねぇ」
「「当然!」」
「だったら、翠蓮が命をかけて守ろうとしている陛下を傷つけてはダメじゃない?」
「「……」」
黙り込んだ二人の頭を優しく撫でて、
「二人はいい子だから、分かるよね?」
と、確認する青年。