【完】李寵妃恋譚―この世界、君と共に―
「翠蓮は……どんな時に、黎祥兄様を好きだと思った?」
「………………えっと」
「あっ、無理なら、言わないでいいのよ!?ただ、私……好きって気持ちは幸せになれるって聞いたけど、実際、どうなのかなぁ、って思ったから……」
もじもじとする灯蘭様は、ただ、可愛い。
妹が生きていたら、こんな話をできたのかな、とか考えてしまう。
「戸惑っただけなので、大丈夫ですよ。そうですねぇ、陛下を好きになった時ですか……」
思い返しても、心当たりがありすぎる。
「そうだなぁ……気づいた時には好きだった、っていう答えはダメなんですよね?」
笑って誤魔化そうと思ったけど、
「それじゃあ、私、分からないわ……」
やっぱり、無理です。
「ですよね」
好きな気持ちって、どういう感じで説明するんだろ?
難問だ。
頭を悩ませていると、
「…………好きな気持ちを説明することは難しいって、母様には言われたのよ。でも、私は恋したことがないから……だから、知りたくて。こんな質問したら、翠蓮も困るわよね。急に変なことを聞いてごめんね」
「いえ……いいんですか?その、私こそ、上手い説明が見つからなくて……」
「ええ、でも、病むを得ず、お嫁に行く時は笑顔で行くつもりだから、ちゃんと笑顔でお祝いしてね、翠蓮」
そう言って笑う灯蘭様の笑顔は、どこか引っ掛かりを覚えて。
「後悔ないような、幸せな恋をしてくださいね」
きっと、灯蘭様はこの国から離れたくないと思っているんだろうけど、国のために、黎祥のために、姉妹のために気持ちを切り替えようとしているのなら、それを、翠蓮に否定する理由も、できる理由もないから。
翠蓮にとって遠い幸せを、どうか。
彼女が、手に入れるといい。