【完】李寵妃恋譚―この世界、君と共に―



「最期に……」


『翠蓮、君を愛してる。どうか、忘れないでくれ。いつか、真実を知る日が来ても……僕は君を愛してる。何があっても、君は僕と白蓮の娘だよ。自慢の、娘だ。守ってやれなくて、すまない。こんなことになってしまって、ごめんな。君をずっと、愛してる。―また、どこかで。翠蓮』


兄様達が、ずっと、翠蓮に隠しておきたかった言葉。


酷すぎるって……そういうこと?


黎祥のせいで、父様が死んだことよりも、


灯蘭様を庇ったせいで、父様が殺されたという真実よりも、


胸が痛いや。


「……祐鳳が、このことを話せと言ったのか?姉上」


「いいえ。最後まで反対していたわ。でも、話さないと、この事件は終わらない」


「……っ」


「子供を奪われた?違うわ、蘇貴太妃はそんなことを望んでなんかいない!」


「……ぁ」


「だからって、翠蓮がこんな風になるくらいなら―……っ!」


「黎祥!!あんたは皇帝でしょう!?万民の上に立つ、身分でしょう!?あんたがそんなことを言っていて、どうするの!!」


「っっ……」


麗宝様に怒鳴りつけられた黎祥は、黙り込む。


そして、ただ、ただ強く、翠蓮を抱きしめてくれた。


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