『One more Love♡』
「離婚を言い渡した時,奥さん何て言ったと思う?」
「?」
あたしは,とてもじゃないが,思いつかず首を傾げる。
「〝アタシは,別に赤ちゃんが欲しくて産んだんじゃない!アナタに言われて産んだだけなんだから!!〟よ?」
「ひ,酷い…」
「だから,ワタシは,奥さんに言ったのよ。〝璃桜の事は,俺が引き取る。だから,君は好きな事…モデルの仕事で上を目指せばいい。君の事嫌いになったワケじゃないけど,璃桜の事を大切に出来ないなら,もう一緒には居られない…璃桜の為にも…だからさようなら〟って記入した離婚届けを奥さんの目の前に置いたのよ…」
慎さんは,そこまで話すと,温くなったホットミルクを1口飲み,更に話を続けてく。
「離婚届けを提出して,離婚成立してからが,実際は大変だったわ…。ワタシ1人で母親役も父親役もする事になったわけだから…。」
あたしは,慎さんが,何故今の喋り方なのか,少し垣間見た様な気がした。
「さっ、再婚とか考えなかったんですか?」
「再婚を考えなかったワケじゃないわよ?でもね,再婚するなら,璃桜の事を一番に考えてくれる人じゃなきゃダメなの…ワタシは,璃桜が大切だから…。もちろん,お付き合いする女性への条件も,璃桜の事を一番に考えてくれる人って決めてる」
「璃桜くんを大切にしてくれなかったら,結局は奥さんと同じですもんね」
慎さんは,『コクン』っと1つ頷いた後,話を続ける。
「でも,さすがに,仕事に育児に…って1人で追われ,ワタシ自身がてんてこ舞いになってしまって…それで,親友…ぃぇ,悪友かしらね…の,雅に相談したわ。当時,雅はまだ小児科から美容科に移動したばかりで,色々と詳しかったからね。離婚した事話してなかったから〝何ですぐ知らせなかった!!〟って怒りながら驚きもしてたけど,直ぐに雅の働く病院に隣接してる保育所に入れる様に手続きしてくれて,無事にそこに通える様になったわ。」
「それからは朝,保育所に送り届けて,サロンで仕事。店が暇でスタッフに任せれる時は,早めに璃桜をお迎えに行って…の繰り返しだった。どうしてもお迎えに行けない時には,雅に行ってもらったりもして,助けて貰ってたの」
「あっ。だから,璃桜くんは,雅先生に懐いてるんですね。」
「そうなのよ。璃桜は,自分の事をちゃんと愛してくれてる…って分かった人にしか心を開かないの。警戒しちゃって…。だから今でも,ワタシと雅と弥姫ちゃんにしか懐いてないわ。保育所の先生に,女性居るけど…保育所の先生は,みんなに分け隔てなく平等に見るでしょ?中には,偏った見方をする人も居るから…心を開く事が出来なくて…懐いてないの。だから,今日初めて会ったココちゃんに直ぐに懐いたのには,ホント驚いたわ」
「……だから,雅先生は,不思議そうな顔で見てたんですね…。雅先生,口には出しませんでしたけど,何か言いたそうでしたから」
あたしは1人で納得して頷いく。
「あのっ,慎さん?」
「ん?」
「あたしで力になれる事ってありますか?」
「えっい,イキナリどうしたの?」
慎さんは,驚いた顔をしている。
「あたしも璃桜くんに心を救って貰いましたから」
「?…どういう事?」
「璃桜くんは,親に裏切られ,婚約者に裏切られ,挙句の果てには,憧れてた姉にも裏切られて荒れすさんだあたしの心を,浄化してくれたんです。今では,元気な子供を産んでくれたらいいと思ってます。まぁ,本人達には,絶対言わないですけどね」
あたしがそう言うと,慎さんは,泪を零した。
「しっ,慎さん?」
あたしがオロオロとすると,
「ご,ごめんなさいね…嬉しくて…」
「えっ?」
「ココちゃんだって,色々あったのに…まだ璃桜と会って数時間なのに,そんな風に言ってくれて…大の男が泣くなんて,情けないわよね…」
慎さんが指で泪を拭う…。
「……泣いてもいいと思います…男だから泣いたらダメとかないですよ。男でも泣きたい時は泣けばいいんです。少なくても,あたしは笑ったりしませんよ。」
慎さんは,あたしの言葉を聞くと,いきなり抱き締めて来た。
「しっ,慎さん?!」
「ごめんなさいね。少しの間だけ…こうさせて…」
あたしは,抵抗せず,されるがまま慎さんに抱き締められていた。
しばらくして,慎さんはゆっくりとあたしの事を離す。
「いきなり抱き締めて,ごめんね」
「い,いえ。落ち着きましたか?」
慎さんが,〝ええ…〟っというと,すっかり冷めてしまったホットミルクを飲もうとマグカップに口を付けようとした時,
「あ~ココたんとパパだけじゅるいのー」
「「璃桜」くん」
あたしが,璃桜くんに向かって両手を広げて,〝おいで〟っというと,璃桜くんは,『トテトテ』っと走り寄って来て飛び込んで来る。
「璃桜くん掴まえた~」
「ココたんちゅかまえたの~」
あたしと璃桜くんは,顔を見合わせると笑いあった。
「?」
あたしは,とてもじゃないが,思いつかず首を傾げる。
「〝アタシは,別に赤ちゃんが欲しくて産んだんじゃない!アナタに言われて産んだだけなんだから!!〟よ?」
「ひ,酷い…」
「だから,ワタシは,奥さんに言ったのよ。〝璃桜の事は,俺が引き取る。だから,君は好きな事…モデルの仕事で上を目指せばいい。君の事嫌いになったワケじゃないけど,璃桜の事を大切に出来ないなら,もう一緒には居られない…璃桜の為にも…だからさようなら〟って記入した離婚届けを奥さんの目の前に置いたのよ…」
慎さんは,そこまで話すと,温くなったホットミルクを1口飲み,更に話を続けてく。
「離婚届けを提出して,離婚成立してからが,実際は大変だったわ…。ワタシ1人で母親役も父親役もする事になったわけだから…。」
あたしは,慎さんが,何故今の喋り方なのか,少し垣間見た様な気がした。
「さっ、再婚とか考えなかったんですか?」
「再婚を考えなかったワケじゃないわよ?でもね,再婚するなら,璃桜の事を一番に考えてくれる人じゃなきゃダメなの…ワタシは,璃桜が大切だから…。もちろん,お付き合いする女性への条件も,璃桜の事を一番に考えてくれる人って決めてる」
「璃桜くんを大切にしてくれなかったら,結局は奥さんと同じですもんね」
慎さんは,『コクン』っと1つ頷いた後,話を続ける。
「でも,さすがに,仕事に育児に…って1人で追われ,ワタシ自身がてんてこ舞いになってしまって…それで,親友…ぃぇ,悪友かしらね…の,雅に相談したわ。当時,雅はまだ小児科から美容科に移動したばかりで,色々と詳しかったからね。離婚した事話してなかったから〝何ですぐ知らせなかった!!〟って怒りながら驚きもしてたけど,直ぐに雅の働く病院に隣接してる保育所に入れる様に手続きしてくれて,無事にそこに通える様になったわ。」
「それからは朝,保育所に送り届けて,サロンで仕事。店が暇でスタッフに任せれる時は,早めに璃桜をお迎えに行って…の繰り返しだった。どうしてもお迎えに行けない時には,雅に行ってもらったりもして,助けて貰ってたの」
「あっ。だから,璃桜くんは,雅先生に懐いてるんですね。」
「そうなのよ。璃桜は,自分の事をちゃんと愛してくれてる…って分かった人にしか心を開かないの。警戒しちゃって…。だから今でも,ワタシと雅と弥姫ちゃんにしか懐いてないわ。保育所の先生に,女性居るけど…保育所の先生は,みんなに分け隔てなく平等に見るでしょ?中には,偏った見方をする人も居るから…心を開く事が出来なくて…懐いてないの。だから,今日初めて会ったココちゃんに直ぐに懐いたのには,ホント驚いたわ」
「……だから,雅先生は,不思議そうな顔で見てたんですね…。雅先生,口には出しませんでしたけど,何か言いたそうでしたから」
あたしは1人で納得して頷いく。
「あのっ,慎さん?」
「ん?」
「あたしで力になれる事ってありますか?」
「えっい,イキナリどうしたの?」
慎さんは,驚いた顔をしている。
「あたしも璃桜くんに心を救って貰いましたから」
「?…どういう事?」
「璃桜くんは,親に裏切られ,婚約者に裏切られ,挙句の果てには,憧れてた姉にも裏切られて荒れすさんだあたしの心を,浄化してくれたんです。今では,元気な子供を産んでくれたらいいと思ってます。まぁ,本人達には,絶対言わないですけどね」
あたしがそう言うと,慎さんは,泪を零した。
「しっ,慎さん?」
あたしがオロオロとすると,
「ご,ごめんなさいね…嬉しくて…」
「えっ?」
「ココちゃんだって,色々あったのに…まだ璃桜と会って数時間なのに,そんな風に言ってくれて…大の男が泣くなんて,情けないわよね…」
慎さんが指で泪を拭う…。
「……泣いてもいいと思います…男だから泣いたらダメとかないですよ。男でも泣きたい時は泣けばいいんです。少なくても,あたしは笑ったりしませんよ。」
慎さんは,あたしの言葉を聞くと,いきなり抱き締めて来た。
「しっ,慎さん?!」
「ごめんなさいね。少しの間だけ…こうさせて…」
あたしは,抵抗せず,されるがまま慎さんに抱き締められていた。
しばらくして,慎さんはゆっくりとあたしの事を離す。
「いきなり抱き締めて,ごめんね」
「い,いえ。落ち着きましたか?」
慎さんが,〝ええ…〟っというと,すっかり冷めてしまったホットミルクを飲もうとマグカップに口を付けようとした時,
「あ~ココたんとパパだけじゅるいのー」
「「璃桜」くん」
あたしが,璃桜くんに向かって両手を広げて,〝おいで〟っというと,璃桜くんは,『トテトテ』っと走り寄って来て飛び込んで来る。
「璃桜くん掴まえた~」
「ココたんちゅかまえたの~」
あたしと璃桜くんは,顔を見合わせると笑いあった。