『One more Love♡』
自室に着くとあたしは,今日買ったばかりのジェルネイルキットを箱から出し,直ぐに使える様にチェックし,慎さんの待つリビングへと急いで戻った。

「お待たせしました」
「どこ行ってた…って…何持って…?」

あたしは慎さんの座るソファーの下に座り,テーブルの上に持っていた物を広げた。

「……ネイルセット?」
「はい…。今まで使ってたのは,実家に置いて来ちゃったので…買ったばかりのジェルネイルキットですけどね。割れてる所を見ると,切れば支障ないところですけど…せっかくの綺麗な爪をしてるので,クリアネイルでコーティングすれば,切らなくても大丈夫ですよ」

あたしは慎さんの割れた爪の指を手に取り,ワイプを1枚手にしてアルコール消毒をした。

「……ッ」
「し,しみますか?」
「いや…大丈夫…ちょっと驚いただけ…」
「ホントに大丈夫ですか?」
「大丈夫だって」

慎さんは,微笑んでくれる。あたしは,その微笑みを信じて,作業を続けた。

「慎さん,このライトに指を当てて下さい」
「…?これでいいのか?」

あたしは『コクンッ』と頷く。

「ライトが消えたら,硬化してるので,ネイルドライヤーから指出して貰って大丈夫ですよ」

あたしが説明してる間に丁度ライトが消えたみたいで,慎さんは,ネイルドライヤーから指を出す。
あたしは再び,その上からクリアジェルをアートブラシで塗り,またネイルドライヤーに指を当てて貰った。

「何か…不思議な感じだな…」
「えっ?」
「いや…だってネイルをこんな風にするって身をもって知ったの今回が初めてだし…」
「そうなんですね」

慎さんが〝ああ〟っと返事をした時,ライトが消え,最後の仕上げのトップコートを塗ってネイルドライヤーにまた指を当てて貰い,仕上がりを見た慎さんは,割れた所が分からなくなっただけでなく,指が綺麗に見える事に驚きを隠せないでいる様子。

「なっ,ココ?」
「ん?」
「全部の指にして欲しいって言ったら怒るか?」

あたしは一瞬ポカーンっとなってしまったが,すぐに笑って答える。

「そんな事で怒ったりしないよ」
「じゃぁ頼んでもいいか?」

あたしは,〝うん〟っと頷くと,残りの指もクリアジェルネイルをテキパキと仕上げる。


「仕上がりどうかな?どこか不具合なトコとかある?」

慎さんが指をグーパーグーパーを繰り返してする。

「うん。大丈夫,ありがとな」
「ううん。爪が完全に割れちゃう前にケア出来て良かった」
あたしは,ジェルネイルキットを片付けながら言うと,慎さんは,後ろから抱き締めて来た。

「慎さん?」
「なぁココ?」
「なぁに?」

あたしは,片付ける手を止めずに聞き返す。
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