夢原夫婦のヒミツ
「それにこの先、どれだけたくさんの人と出会っても、私が好きなのは大和さんだけです! 大和さん以上に素敵な人なんていませんし、好きになりませんから」

信じてほしくてつい、大きな声になる。だけど彼は大きく瞳を揺らした。

「ありがとう。……俺もだよ。俺もこの先どんな出会いがあったとしても、愛実以上に好きになれる相手と出会えることはないと思っている。だからこそ不安になるんだ」

すると彼は私の手をギュッと握りしめた。

「俺も初めて好きになった相手に対して、同じ感情を抱いた。この先もずっと気持ちは変わらない。この子と結婚するんだって。……だけど環境が変わり、お互い新たな出会いがあってその気持ちは消えた。それを俺は三度繰り返してきた」

大和さんが私に言いたいこと、なんとなくわかる。

私と出会った頃の大和さんはもう大人で、それなりに恋愛をしてきたはず。だけど私は大和さんが全部初めてだ。

だからこの先、私も彼に対する気持ちが消えて、新しい恋をするかもしれないと不安に思っているってことだよね?
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