夢原夫婦のヒミツ
「愛実と出会い、初めて抱く感情ばかりだった。こんなに人を好きになったのも、守ってあげたいと思ったのも、一生そばにいたいと思ったのも。全部が初めてだったんだ。……だからこそ怖いんだ」

大和さんの大きな手が伸びてきて、私の頬を優しく包み込んだ。

「今よりもっと愛実のことを好きになると思う。……またかけがえのない存在を失うのが怖いんだ。もう二度とあんな思いをしたくない。だけどいつなにがあるかわからないだろ? 俺も愛実も、突然の災害で家族を失ったのだから」

大和さん……。

私の頬に触れる彼の手は震え出した。

「こうやって触れてキスをして、その先へ進んだら本当に俺は愛実からもっと離れられなくなると思う。それなのに愛実がいなくなったら俺……」

今にも泣き出してしまいそうな大和さんの手を、私はギュッと握りしめた。

「いなくなりませんよ、私は」

そして彼を安心させるように力強い声で伝えた。
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