夢原夫婦のヒミツ
「もちろんいつもの優しくて頼りになる大和さんも大好きです。でも弱気で嫉妬しちゃう大和さんも好きですよ?」

「愛実……」

大和さんも普通の男の人なんだって思えるから。

「あ、でもこういう意外な一面は私以外の人には見せないでくださいね? ……でないとみんな、大和さんのことを好きになっちゃいますから」

大和さんの魅力は、私ひとりだけが知っていればいいから。

するとやっと大和さんは表情を崩して笑った。

「わかったよ。嫉妬するのも情けない姿を見せるのも、愛実の前でだけにする」

「……はい」

額を離すと大和さんは無邪気に笑った。

「それともし、俺が愛実より先にこの世を去ることになったら、俺も絶対に幽霊になって愛実のそばから離れないから。天国へ行くときはふたりでいこう」

「大和さん……」

大和さんらしくない冗談話に笑ってしまった。

だけど嬉しい。大和さんがそう言ってくれて。……この先なにが起こるかなんて誰にもわからない。
だからこそ今を大切に生きたいと思う。
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