夢原夫婦のヒミツ
「だから私、ちゃんと自分の気持ちと向き合おうと思って。……びっくりしたけど、嫌じゃなかったの。家に帰って考えれば考えるほど長い期間、ずっと私のことを好きでいてくれたんだって思うと……嬉しかった」

最後は小声でボソッと呟いた蘭が、実に彼女らしくて笑みが零れる。

「そっか。……うん、いいんじゃないかな。感じた想いを素直に受け入れても。ゆっくり佐介のこと、考えてあげて。私もいつでも話を聞くから」

そう言うと蘭は安心したようで、表情を緩めた。

「うん、ありがとう。グルグル考えてどうしようもなくなった時は、相談させてね」

「了解」

どちらからともなく笑ってしまった。

それからデザートをそれぞれ注文し、普段はあまりしない恋愛トークに花を咲かせて楽しい時間を過ごしていった。


蘭と別れて自宅に着いたのは二十二時過ぎだった。

部屋の明かりは灯っていて玄関の鍵を開けると、大和さんがリビングから顔を覗かせた。

「おかえり。帰り、大丈夫だったか? 電話をくれたら迎えに行ったのに」

「いいえ、そんなっ! 近くでご飯食べたので平気です」
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