夢原夫婦のヒミツ
「夢原先生、元気ないけどなにかあったの?」

「もしかして旦那様と喧嘩しちゃったの?」

この日も教室にお邪魔して園児たちと給食を共にしていると、一緒に食べていた健一くんと茉奈ちゃんが、心配そうに聞いてきた。

ふたりの気持ちが嬉しくて笑みが零れた。


「ありがとう、心配してくれて。でも大丈夫、喧嘩したわけじゃないの」

笑顔で伝えると、ふたりは首を傾げた。

「じゃあどうして夢原先生は悲しそうな顔をしているの?」

「喧嘩じゃないならどうして?」

純粋なふたりに聞かれて、返答に困る。

どうしよう、なんて言えばいいのかな。でも大丈夫って誤魔化せる? こんなに私のことを心配してくれているのに。

迷いながらふたりに伝わるように、言葉を選びながら伝えた。

「先生の旦那様は今、お仕事で遠くに行っているの。離れているからちょっと心配で先生、元気が出ないんだ」

どうだろうか、これでふたりに伝わっただろうか。

健一くんと茉奈ちゃんの様子を窺う。するとふたりは急に立ち上がり、私の元へやってきた。

そしてふたりして背伸びをして私の頭を撫で始めた。
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