夢原夫婦のヒミツ
大和さん、どこに行くつもりだろう。話ができる落ち着いた場所? そんなところで自分の気持ちを伝えることなど、できるだろうか。

カフェなどで話をするところを想像してみたけど、できる気がしない。

だめだ、言うなら今しかない!!

自分を奮い立たせ、前を歩く彼の腕を両手で掴んだ。

「あの、大和さんっ……!」

引き留めると彼は足を止めて振り返ると、驚いた顔を見せた。

「どうしたの?」

心配そうに私を見つめる大和さんに、胸がギュッと締めつけられる。

今、ちゃんと言わなかったらずっと言えない気がする。それにこのままじゃ、大和さんは上司に言われた通りにお見合いしちゃうよね?

そんなの、絶対に嫌だ……!

「大和さん、お見合いなんてしないでください」

切に訴えるや否や、彼は目を大きく見開いた。

「どうしてそれを……?」

「日比谷さんに聞いて……」

正直に答えると、「あいつ……」と呟く大和さんに続ける。
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