mirage of story
このままでは、死ぬ。
それは明らかだった。
彼が剣を振るう毎に、私の身体はボロ切れのようになる。
着ていた服は原型を失い、完全に血の色一色に染め上げられた。
「まだだ!ルシアスが受けた痛みは、こんなものじゃないはずだ!
立て!剣を握れ!
ルシアスが受けたその痛みを受けろ!」
感情剥き出しに狂い叫ぶ。
あぁ、彼を―――ルシアスである私の記憶の中、あんなに優しい彼をこんなにさせてしまっているのは......私だ。
彼を狂わせたのは、こんな哀しい人にしてしまったのは私だ。
全て、私が悪いんだ。
今がこうであることの全ては、私が原因だ。元凶だ。
「俺はアイツのためなら、この命だって惜しくはなかった!
.......なのにっ!
アイツが死んで、何故俺が生きてるんだよ!
アイツを殺したお前がのうのうと生きている!?
どうして、何故っ!?」
――――ザシュッ。
ライルの感情のボルテージが最高潮に達した。
そしてそれと共に放たれた突きが、私の腹部に.......突き刺さった。
「あ.......」
私の口から堪えていた嗚咽が零れ落ちる。
そしてその瞬間、身体がドサリと地に落ちた。
大地の土と混ざり濁った紅い水溜まりに、私の身体は崩れ落ちた。
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