mirage of story
この痛みだって、彼のためなら苦痛じゃない。
さぁ、もうすぐ終わる。
彼が剣を私に振り下ろせば、そこで縺れてしまった私と彼の運命にちゃんと終止符が打てる。
遣り残したことがあるのは、私の中で唯一の心残りだけれど。
それは仲間がきっと果たしてくれる。私はそう信じた。
戦いの中、剣は取ったものの抵抗はしなかった。
剣を取ったのは彼がそれを望んだからで、私には彼を傷付けたいと思う気持ちは毛頭持てなかった。
私のけじめを付けるという目的には、戦いも抵抗も無意味だったから。
.......今はもうその剣も握る体力もなく、したいと思っても叶わないが。
「これで......終わりだ」
冷酷に落とされる声。
それも彼の声だと思えば、それさえも心地良い。
此処に来て、完全に恐怖という概念は私から消え去っていた。
――――ッ。
キイィンッ。
金属音。私の身体を貫くために振り下ろされる剣と、それに伴い起こる風。
(ライル.......)
私は背中から死を感じて最期の力を振り絞り、朦朧とする意識の中で彼の姿を探し、そして笑った。
ごめんなさい。
そして今までずっと私を―――ルシアスを思い続けてくれて、ありがとうと。
そして私は、目を閉じた。
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