mirage of story
〜3〜











シエラへと振り下ろされる最期の剣。
鋭い刃は哀しみに淀んだ戦場の空気を切り裂く。


この戦場でまた、一つの命が消える。

覚悟を決めたシエラは、フッと穏やかに笑いライルを見つめその時を待った。



























「..................何故笑うんだ」




ライルの握る鋭い刃が、シエラの身体を突き刺す。
憎しみを纏った狂気が、シエラの命を絶つ。

そう誰もが想像する。




だけれどその想像していた光景はその寸前で止められ、シエラの身体と剣の切っ先に木の葉一枚分程の猶予を残してその手は止められていた。












「...........何故、何故お前は一度も反撃をして来ない―――抵抗をしないっ!?

全てを終わらせに来た。
そう言ったのにお前は何故俺を斬ろうとしない、どうして殺そうとしない!?」





全てを終わらせに来た。
シエラは確かにそう言った。


全てを終わらせるということはつまり、二人の間に在る因縁に決着をつけるということ。
そういう意味だと、ライルは思っていた。







なのに。

なのにシエラは剣を握ったそれだけで、一度もライルに斬り掛かりはしない。
それどころか自分の身を守るための反撃や抵抗さえも、シエラはしないのだ。




どういうことだ。
どういうことなんだ。

シエラからは戦う気が感じられない。
戦う気が無い、それならどうして彼女は此処へそれもたった一人でやって来たのか。


それに彼女は笑ったのだ。
自分の命が絶たれるという、まさにその状況で。








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