mirage of story










生きる価値の無い、最低な生き物。
それは最上級の蔑みの言葉。




だが自分を見つめるシエラがあまりにも真っ直ぐて、ライルは戸惑う。


所詮、自分の命を守ろうと綺麗事を言って命乞いでもするつもりなのだ。
ライルは沸き上がってくる戸惑いに、そう自分に言い聞かせようとした。















「..........そうね、私は貴方の言うとおり......最低な、生き物かもしれない。
貴方がそう思うのなら........私はそう思われても構わない。


でも、貴方を傷付けたくはない―――その言葉には、偽りはない」





ライルはそう思おうとした。

........それなのにどうしても彼女が嘘を、綺麗事を言っているようには見えなくて。
彼女が最低な者であると、憎まれ殺されるべき者であると思うことが出来なくて。




今までこの時までただ憎み殺すべき相手、ルシアスの仇。
そう思っていた相手なのに、傷付き今にも命の灯火が消えてしまいそうな程に弱り切った彼女をただ見ていることに耐えられなくなる。







これは、憎む相手には絶対に沸いては来ない相手を心配する感情。

どうして。
何故、この感情が―――大切な人を殺したはずの彼女に対してこんなにも沸き上がってくるのか。


彼女は、憎しみしか抱けないそのはずの存在なのに。



















「............お前は一体.....何者なんだ?」



思わず、答えが分かっているはずの疑問が零れた。









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