mirage of story












「私は.......貴方の敵。

私は貴方に、酷いことをした。
だから......だから貴方が望むのなら、どんな報復も受け入れる。

なぶりたいなら、なぶればいい―――私を、私を殺したいのなら、殺せばいい。
それを貴方が、望むなら私は――――――ッ!」





途切れ途切れに、シエラはライルに向かって必死に叫んだ。

その衝撃で傷口が開き血がまた流れる。
肺まで傷付けられているのか、喋るごとに空気が洩れるような音がして喉にせり上がる血に咽せ返った。










「.........私は.....」



それでも、彼女は必死に言い続ける。

それはまるで自分自身に言い聞かせて、自分の中の本当の気持ちがルシアスとしての気持ちが表に出てきてしまわないようにしているように。
















「なっ.......おいっ!」


咽せ込む彼女。
ライルはその姿に激しく動揺し、焦る。
まだ剣は握られ彼女に向けられたままだが、その剣先はスッと下へと下がっていく。


彼女がこの世界から居なくなることを、ライルは心の底から望んでいたはずなのに。

どうしてこんなに、彼女が心配なのか。
どうして、何故?

















「私はもう........昔みたいには、戻れない。

貴方とも、お別れ.........もう一緒には、居られ......な...い」



「お前、一体何を言って―――」




ライルを見つめるシエラの瞳が、ぐらりと大きく揺らぐ。
息がか細くなったり荒くなったりを繰り返す。その苦しさが空気に伝染してヒシヒシと伝わる。

焦点が合わない。
なのにそれでも、シエラは必死にライルの姿を捉えようとしていた。








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