mirage of story



















「ご.....めん、な....さい。
.........ライル―――」




「っ!」








ライル。
最後にシエラが口にしたのは、彼の名前だった。

彼の名前を口にした彼女の瞳は、とうとう力尽きたようにフッと閉じられた。
彼女の美しい水色の瞳が、瞼によって遮られ見えなくなった。












――――カンッ。



ぐったりと横たわるシエラ。

ライルは剣を投げ出し、そんな彼女を抱き上げていた。
無意識だった、だけれど本能的に身体は動いていた。









「おい、おいっ!」



抱き上げた。
そして抱き締めた。
その身体は血に濡れ、そしてじんわりと冷たい。

その感覚に悪寒が迸る。






何故自分は憎むべき、殺すべき相手を―――ルシアスの仇を抱き締めているのか?

どうしてだ。
自分は彼女をこの世界の誰よりも憎んでいるはずなのに、ルシアスを奪った彼女を絶対に許すことはできないはずなのに。




――――ッ。
ぐちゃぐちゃに交錯する自分の感情。

そんな中でライルは頬に伝う冷たい感覚に気が付いて、その冷たさにより一層の矛盾を感じる。



















「どうして俺は――――こんな奴のために、泣いているんだ」



抱き締める冷たい彼女の身体に、ライルの涙が落ちた。









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