mirage of story
神に懇願する。
その中で、答える声。
それは懇願した神ではなくて、自分の内から聞こえる....竜の声。
「炎竜!?
炎竜なのかっ!」
ライルは叫ぶ。
"そんな叫ばなくとも聞こえておる。
お前と我は共に、それを忘れたわけではなかろうな?"
ブワァッ。
笑いを含んだそんな声が聞こえたかと思うと、何も無かった宙に何処からともなく現れる炎。
その炎がグルリと弧を描きながら、竜の形を形成していく。
炎の竜。
竜刻の指輪に宿る、水竜とは対なる存在の炎竜。
それはライルが契約を交わした竜であって、こうして面と向かって会うのはもう数回目だった。
「炎竜!あんたはこのことを知っていたのか!?
ルシアスが、生きていたということを!彼女がルシアスだったということも!
全てを、知っていたのか!?」
現れた炎竜。
その紅き美しい姿に、ライルはぐったりとする彼女を抱き締めたまま叫ぶ。
その瞳には涙。
今日まで随分と長い間ライルは泣いていなかった気がして、口に一滴流れ込んだその涙がやけにしょっぱく感じられた。
"...........あぁ、我は全てを知っていた。
それももう随分と昔から、我はお前の知らなかった気付かなかったその全てを知っていた"
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