mirage of story
「っ!」
全てを、全てを知っていた。
この五年の間もいつもライル共に在った炎竜。
共にあったはずの二つの存在、なのに事実を知っていたのは炎竜だけ。
「それなら.....それならどうして教えてくれなかった!
あんたは全てを知ってしたんだろう?
俺がルシアスを愛していたことも、俺が知らぬ間に大切な人を傷付けていたことも!
それを知っていて何故........何故こんなになってしまうまで、何も教えてはくれなかったんだ!
教えてくれてさえいれば、このような結果には―――アイツをこんなに傷付けてしまわなくて済んだのに!」
そうだ。
教えてくれていれば、ちゃんと気付かせてくれていれば。
今、こんなことにはなっていなかった。
彼女を、ここまで傷付けて追い込んでしまうことはなかったのに。
どうして全てを知っていて炎竜は、何もライルに語ってはくれなかったのか。
その真意が分からずに、ライルは炎竜に叫び問う。
"............我が事実を述べた所でお前はそれを、すんなりと信じたというのか。
彼女のことを想うその裏目、誰よりも強く彼女の生の可能性を否定してしまったお前に。
彼女を過去とし、彼女自身でなくその仇を討つことに執着していったお前に。
自分の瞳で見抜けられぬことを他の者から教えられ、それをお前は受け入れられたと言えるか!
他から気付かされ無理矢理に事実を受け止めようとも、自身で本当に気付くことが出来ぬ限り憎しみで歪んだお前は何も変わりはしなかったはずぞ?
―――今のお前のように、こうして彼女のために涙を流せなかったはずぞ?"
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