mirage of story











今此処で過去を嘆いても、もうそれは過ぎ去ってしまったこと。
もう遅い。




大切なのは、過去ではない。
未来に繋がる今を、どう生きるかだ。

今生きているこの時がやがて過去となった未来で、悔やむことのないように。
生きる今で出来る最大限のことをやることが、大切だ。














「彼女を、助けたいんだ」



ライルは強く炎竜を見つめて、もう一度はっきりと言った。

それはもう過去ではなく今を、そして未来を見据えた言葉。
その言葉に、炎竜は何処か満足したように笑いを零した。

















"―――ライルよ。
お前がこの事実に気が付くのが、遅すぎた"


「っ!」








"..............だがまだ彼女は生きている。手遅れではない。

死んだ者を甦らせることは世界の理に反するが、生きている者を癒やすは簡単なことよ。
―――だろう?水竜よ"




炎竜は満足気な笑いを浮かべたままに、そう言う。

そして言葉の最後。
ライルの青い瞳に向けられていた視線を、炎竜は上へと逸らし空を仰ぐ。
ライルではない、それぞれの時を歩み長きに渉って相見ることの無かった自分の同胞の名を呼んで。

















"その通りだ"




ルシアスを、シエラを抱き締めるライル。
空を仰ぐ炎竜。

そんな地上の青と紅に、空から炎竜の言葉に答えるように声が注いだ。



低くでも心地良い。
炎竜に似た、でも何処か違う性質を感じさせる声。
ライルも彼女を抱いたまま、空を仰いだ。










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