mirage of story
「俺には君がルシアスでなくてシエラという人間として生きてきた時間が、どんなものだったかは知らない。
辛いこともあったかもしれない。沢山失ったものがあったかもしれない。
だけど長い月日、失ったものばかりじゃないはずだろう?」
「...........」
「それにこの運命が仕組まれたものであった一度変わったものだとしても、こうして全てを知った上でもう一度巡り会えたんだ。
――――この運命もそう悪くはない」
今まで起きてきたことを考えると、全てを否定してしまいたくなる気持ちも分かる。
若い彼等にとっては重すぎる現実だった。
過酷過ぎた。
だけどその中で道に迷いながらも必死に生きてきた時間を、全部無駄だったとは思いたくない。
自分の意志で歩んできたと信じてきた時間を、誰かに歩かされていたと思いたくない。
だからライルは言う。
笑って、自信を持って自分の運命を肯定した。
「.........ありがとう」
「お礼を言われるような気の利いた言葉、言ってないさ。
今この状況がもし本当に仕組まれたものだったら―――俺達で打ち壊すまでだ。
俺達で、決着を着けよう」
「うん」
ドオォンッ!
ドオォォオンッ!
無差別に世界へと注がれる闇からの攻撃が、光の竜に守られている二人の横を掠めて少し離れた所の大地を抉った。
その衝撃がザアァッと風になって迸る。
その中でライルとシエラは互いを支え合いながら、立ち上がった。
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