mirage of story









怒りを抑えて低くなっていた声が、何処か呆れたような笑いを含んだ声に変わるのが分かった。



そして闇は視線を、カイムからロアルへと移す。

勿論視線を向けた先のロアルの身は契約によってもう彼のものでは無くなっているのだが、それでも闇はその奥底に未だしがみつくように残る彼の意識に語りかけるように言った。












(.........私になど、似て欲しくは無かったがな)



意識の奥底で、ロアルは闇からの語り掛けに答える。
その声は闇と同じ、少し呆れたような笑いを含んだ声だった。

だがやはりその言葉は声としては発せられず、カイムの耳には届かずに意識を共有する闇にだけ届いた。









(..........だが嬉しいものだ、創黒の竜よ。

もう親子では居られないそう思っていた―――だが親子という繋がりは、それでもまだ)




ロアルは残る意識の中で闇を見る。

囚われた意識の奥では、口元を微かに釣り上げただけの自嘲気味な笑み。









"下らぬな。
親と子の繋がりも所詮は人と人との繋がり。

愚かで弱き人共が幾ら繋がり合おうとも、我等が竜の力には叶わぬというのに。
世界を微動もさせることは出来ぬというのに"




(.........確かに貴方にとっては下らんかもしれん。

だが人は愚かで弱いからこそ、それを補うために繋がりを求める。親と子の繋がりもまた同じ。
その繋がりは世界を揺るがす程のものではなくとも、決して脆いものではない)








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